それは名作歌舞伎「義経千本桜」から四年後の物語。
古来、日本の物語には
人間と動物が織りなすものが多いとは思いませんか?
少し瞳を閉じて、子供の頃に読み聞かせてもらった
物語を思い出してみてください。
そこには当たり前のように動物が現れます。
彼らは当然のように言葉を話し、情を通わせ、
恩返しをし、加勢をし、人間に寄り添います。
それは、おとぎ話だけでなく、
能や歌舞伎においても同じなのです。
僕がインスピレーションを受けたこの「義経千本桜」
という物語も、そんな大人のおとぎ話の一つです。
悲劇の名将として知られる源義経は、
実の兄である頼朝から命を狙われ、
絶体絶命の危機に直面します。
そんな彼を助けるのは
小さな、小さな子狐だったのです。
荒唐無稽で、考えようによっては
幼稚とさえ思えるこの物語が、歌舞伎として
今日まで残っているのは何故でしょう?
僕は、そこに「人間は捨てたもんじゃない」
という可能性を感じてしまうのです。
幼い一匹の狐の健気さが、
スッと心に染み込んできた時
「人間は強がらなくていいんだよと・・・」
先人達からの贈り物のような言葉が
聞こえたような気がしたのです。
皆様と美しく舞い散る桜を眺めるべく
スタッフ&キャスト一丸となって頑張ります。
劇場でお待ち申し上げております。
原作・脚本・作詞・演出
藤沢文翁
藤沢文翁


