TAIL to TALEで盛大に桜を散らせたその後に、
もう一つの桜の物語をご覧いただくことになります。
さて、日本人はどうして幕末が好きなのでしょう?
ここから先は勝手な僕の解釈となるのですが、
おそらく『侍』の時代が終わり
『近代国家』が成立するその時代の刹那。
何が正しいかも分からず、
ただ若者がどうしようもなく敵と味方に分かれ、
ぶつかり合ったそのエネルギーに
惹かれるのではないでしょうか?
明治32年、新渡戸稲造という男が
『武士道』という書籍をアメリカで出版しました。
当時、『野蛮』というイメージが先行していた
武士の正しい姿を英語で記した貴重な資料です。
それと一緒に、『武士はいなくなってしまうだろう』
と予言しているのです。
どんなに剣道を習っても、どんなに着物を着ても、
僕らは二度と武士にはなれません。
彼はそれを予言していました。
しかし、悲観もしていませんでした。
僕の意訳になってしまいますが、
その本の最後にこんな事が書いてあります。
『時が経ち、慣習も消え、全てが葬られても、
彼らの姿を象徴とした花(桜)のように、
その生き様は我々の中に刻まれる。
その香を嗅ぐたびに、
子孫たちは遠い先祖の祈りをきくだろう』
同じ桜が散るのを見ても、
それぞれ感じ方は異なるでしょう。
もう一つの桜の物語・・・
皆様の目にどのように焼きつくのか、
答えは一つではありません。
劇場でお待ちしております。
原作・脚本・作詞・演出
藤沢文翁
2025年11月29日(土)〜11月30日(日)
相模女子大学グリーンホール(大ホール)
【原作・脚本・作詞・演出】藤沢文翁
【作曲・音楽監督】村中俊之



